花巻農学校裏の杉の下の大入道
どんな伝承か
賢治の親戚で研究家でもある関登久也が伝える話である。花巻農学校の裏手に五本の古い杉の木があった。ある夕方、賢治はその木の下で大入道を見たという。それを見てから全身の毛穴がふさがり、ぶつぶつしたものが皮膚に出て、そのまま寝ついてしまったとも聞くという。後に羅須地人協会へ若い教師が大勢集まったとき、賢治が大入道の話をすると、かつての教え子であった根子義盛が、そら来た、と言ってテーブルを叩いた。賢治は顔色を変えて飛び上がり、あまりの驚きように根子はひどく恐縮したという。普通の人には見ることのできないものを、賢治はよく見たと関は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。