阿漕が浦の水底に沈められた平治
どんな伝承か
伊勢湾に面した阿漕が浦は、参宮線の阿漕駅から北東へ二キロほどの美しい浜で、八十八夜の頃に鯛が群れて浮き上がる「浮き鯛」の名所でもあった。伊勢の内宮・外宮の祭典に供える干鯛はここで釣った鯛から作られ、神宮の御用以外の漁は固く禁じられていた。それでも密漁は絶えず、平治という漁師は病の母に効くというヤガラを求めて禁を犯し続け、ついに捕らえられて浦の水底へ沈められた。処刑ののち、命日の深夜に沖から網引きの声が響き、波間に平治の姿が浮かぶといった怪異が続いたため、人々は塚を築いて霊を鎮めた。七月一六日にはいまも法会が営まれ、漁師は漁を休む。浜の近くには花崗岩の玉垣をめぐらせた阿漕塚の巨碑が立っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊大全(中岡俊哉・2000年(平成12年))
『心霊大全――20世紀の超自然現象世界』は、中岡俊哉が二〇〇〇年(平成十二年)に著し、ミリオン出版から刊行した超常現象の総覧である。日本各地と世界各国の怪奇現象・伝説・心霊の地を県別・国別に紹介し、心霊写真・自動書記・憑依などの心霊現象、臨死体験と輪廻転生、透視・念力などの超能力、手かざしの治療を解説する。全六章から成り、巻末に著者インタビュー、著書・ビデオ作品一覧、あとがき、著者略歴を付す。