納屋に火を放った英男の無理心中
どんな伝承か
絵が見つかって一年余り、英男は兄の良助と娘のフミの回復を待ったが、二人は食べて寝るだけの暮らしから抜け出せなかった。昭和四十一年三月の夜、英男は源兵を呼び、絵は手遅れだった、この二十一年の出来事に疲れ果てたと打ち明け、死者がみな自ら望んで死んだのではないのが無念だと涙ぐんだ。そして長年の奉公をねぎらい、後のことを源兵に託した。三日後、言いつけで源兵が館山へ使いに出た留守に、英男は二人を納屋の柱に縛って火を放ち、自らも死を選んだ。源兵は泣きながら三人の骨を拾い、一週間後には老女中のおまきも息を引き取ったという。
原典より
そのときの留守の間に、英男旦那は、屍のような良助旦那とフミお嬢さんを、納屋の柱に縛りつけて、そこに火を放ち、ご自分も死を選んだのでした。—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次には悪霊憑依の実話十一話の題と、霊魂の存否と悪霊対策を論じる「悪霊を除く法」の章が並ぶ。