トラックの前に立つ竹ぼうきの男
どんな伝承か
昭和四一年の夏の夜中、福島県相馬郡鹿島町で、トラックにはねられて死んだ男の幽霊が出るという噂が高くなった。その時刻になると、竹ぼうきを手に持った男が、走って来るトラックのライトの前に立つという。噂が高くなってから事故の現場一帯をくまなく探したところ、事故死した男の肉片が発見されたそうである。大人たちの噂のなかには、手に持って出るのは竹ぼうきではなく黄色の旗だったという話もあった。竹ぼうきを持った男が道に出て来たので急ブレーキをかけたが間に合わず、轢いてしまったと思って車を降りて調べたが、人の影も形もなかったと語る運転手もいたそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。