屋敷神を名乗る大入道
どんな伝承か
昔、新坂通台町五番丁南側東角の屋敷を拝領した侍が、妻子もなく一人で住んでいた。ある夜、月影のさす座敷に木枕をして寝そべっていると、庭先近くで呼ぶ声が聞こえる。障子の隙間から覗いてみると、軒よりも高く見上げるばかりの大入道が突っ立っており、ここは昔からわしの屋敷じゃ、早く立ち退けとわめいた。豪胆な主人が、これは殿より拝領したわが屋敷だ、お前こそ立ち去れと言い返すと、大入道は、自分を粗末にしたので誰も住みついた者はない、祭の日に神酒や供物をして厚く祀ってくれるなら守護もしようと言って消えた。翌朝調べてみると、屋敷の一隅に梅の老木があり、その下に小祠があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。