亡霊が寄進した称名寺の梵鐘
どんな伝承か
藤尾村金津の称名寺には、幽霊が寄進したという梵鐘が伝わる。二八〇年ほど前、延宝から天和にかけての頃、この地の侍高橋某が隣の佐倉村に情婦を囲い、家では本妻に辛く当たった。妻は貞淑で離縁の口実も立たず、ついに男は情婦と謀って妻を殺してしまう。無念の妻の霊は本宅に入った情婦を恨んで夜ごと戸口まで来たが、貼られた神符に阻まれて入れない。そこで生前の味方であった親戚に小判を渡して札を剝がしてもらい、ほどなく情婦を取り殺した。親戚はかねての頼みどおり、その小判を青銅に混ぜて鐘を鋳させ、菩提寺へ納めた。鐘銘には元禄六年の年紀と施主高橋八郎兵衛の名が刻まれている。
原典より
称名寺という寺に、昔幽霊が寄進したという梵鐘がある。—— 宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。