行灯の灯を狙って射止めた大蝦蟇
どんな伝承か
昔、本吉郡新月村の名木沢、谷川の土橋のほとりに、傾きかかった一軒の荒屋があった。いつからか夜になると、行灯のもとで一人の老婆が糸を紡いでいる。その様が気味悪く、魔性のものにちがいないと評判になった。鉄砲の名人紋兵衛がある夜、銃を携えて様子を見に行くと、こちらを振り向いてニタリと笑った老婆の顔は凄まじく、胸もとをめがけて撃ったが手応えがない。翌晩もようすを見て故老に相談すると、行灯の灯を狙えば射止められると教えられた。三日目の夜、老婆が振り向いた瞬間に行灯の光を狙って一発放つと、異様な叫びとともに四辺は真っ暗になった。翌朝行ってみると、それは三尺余りの醜怪な大蝦蟇であった。
原典より
昔、名木沢の谷川の土橋のほとりに、一軒の傾きかかった荒屋があり、何時からともなく、夜になると行灯のもとで、一人の老婆が糸を紡いでいるのであった。—— 宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代))
宮城の民間信仰と禁忌(宮城県史民俗編)/禁忌を破る祟りと火玉/河童・狐狸の怪/年中行事と俗信/地域の幽霊・妖怪伝承