押上の土手での放屁に罰金七銭
どんな伝承か
明治六年二月、吉原京町の喜勢長屋の局見世で遣手をしていた老女キョは、卯の日に亀戸天神へお参りに行く道すがら、押上の土手でうっかり屁をもらしてしまった。ところがこれを邏卒に見とがめられて捕まり、罰金七銭を科されたと当時の新聞が伝えている。『明治奇聞』はこの話を取り上げ、わざと人を侮るために目の前で放ったのならともかく、うっかりもらした屁を罰する条文は無く、為すべからざる事をした者を罰する不応為律に当てはめるのも無理があると評している。
原典より
明治六年二月、吉原京町喜勢長屋局見世の遣手婆キョが、亀井戸天神卯詣りの途中、押上の土堤で思わず放屁したのを、邏卒(巡査)に捕えられて罰金七銭に処せられたということが、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。