二十四歳で男と告げられた徳島の亀雄
どんな伝承か
徳島市住吉島町の小島ゆきの私生児かめをは、二十四歳のとき徳島の三宅病院で手術を受けて男となり、亀雄と改名して徴兵検査を受けたが、結果は丁種の不合格で兵役とは全く関係のない身となった。かめをは尋常二年を中途退学し、子守や下女奉公ばかりしていたが、十九の年に女として人並みの身体でないと悟ってつくづく世の中が嫌になったという。二十四で医者に男だと聞かされた時は天にも昇る心地がして、すぐに銀杏髷に結っていた髪を切り捨てた。裁縫から炊事まで女一通りのことはできるが読み書きが苦手で、字引を懐に文字を覚えているという。今は妻もあり、近く徳島の本町でフライビンズの製造販売を始めるとのことであった。
原典より
それでも未だ女であると信じていましたけれど、二十四の年に医者に診てもらいまして男であると聞かされた時は、ホントに天にも昇る心地がしまして、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。