羅生門の鬼が詠んだ対句
どんな伝承か
良香という者が京の羅生門の下を通りかかったとき、詩の句を練っていた。上の句は浮かんだものの、それと対になる句がどうしても出てこず、門の下でしばらく思い悩んだ。すると頭上から不意に大きな声が響き、見事な対句を詠み上げた。良香がこの不思議な出来事を菅原道真に話すと、道真はそれは鬼の詞だと答えたという。梅城録に見える話で、鬼に化す前は学識のある者だったという例として紹介されている。
原典より
道真は、ホウ、それは鬼詞なり、といったという。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。