八鶏城主小太郎の亡霊
どんな伝承か
上総国東金の八鶏湖の西に、北条氏の一族で五万石を領した酒井小太郎の城があり、八鶏城とも呼ばれた。慶長年間に徳川家康の家臣本多平八郎忠勝の軍勢に攻められて落城し、小太郎は正午の刻に自害した。城のふもとにある法華宗の本漸寺では、以来この時刻を不吉として昼の鐘を撞かなくなった。ある年、そのいわれを知らない住職が鐘を撞いたところ、血に染まった死装束の小太郎の亡霊が白馬にまたがって現れ、湖を巡って消えたという。それからは鐘の代わりに太鼓を打つようになったと伝わる。
原典より
ある年、それを知らぬ住持が鐘を撞くと、小太郎の亡霊が、白馬に乗り、血だらけの死装束の姿を現し、湖をめぐり消えたそうだ。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。