閻魔庁から尊恵慈心坊への招待状
どんな伝承か
摂津国清澄寺の住僧である尊恵慈心坊のもとに、ある月の二十二日、閻魔王庁から浄衣を着た使いが招待状を届けてきた。十万人の持経者の一人として、来る二十六日の早朝に閻魔羅城の大極殿へ集まるようにという内容だった。慈心坊は書状を確かめて受取の返書を送り、口に阿弥陀の名号を唱えて極楽への導きを願い続けた。二十六日になると眠気に襲われ、先の使いが迎えに来た。二人の童子や従僧、下僧を従えた七宝の車に乗って空を飛び、閻魔の城に着いて閻魔王と語らったという。
原典より
慈心坊はこの書状を被見し、受け取った旨、領収状を返した。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。