砂村隠亡堀に流れ寄る戸板の死骸
どんな伝承か
『東海道四谷怪談』三幕目の舞台は砂村隠亡堀である。伊藤喜兵衛とお梅を殺された伊藤家のお弓と乳母お槇は非人の姿となって伊右衛門を探し、鰻取りを渡世とする直助とともに現れるが、伊右衛門は二人を堀へ落としてしまう。釣りを続ける伊右衛門の前へ、お岩と小平を表裏に打ちつけて流した杉戸が寄ってくる。太鼓がドロドロと鳴り、菰が落ちるとお岩の死骸が現れ、両眼を見開いて伊右衛門を睨み、民谷と伊藤の血筋を絶やすと恨みを述べた。菰をかけ直して突き出そうとすると戸板は裏返り、藻をかぶった小平が薬をくれと手を差し出す。斬りつけた瞬間、死骸は骨となって水中へ落ちた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集