井戸の底から皿を数える菊の声
どんな伝承か
江戸の飯田町に小幡という旗本が住んでいた。その当主播磨が女中の菊に懸想したが、菊が己になびかぬので、家重代の宝物の皿十枚のうち一枚が欠けたと罪を着せ、井戸に投げ込んで殺した。その夜以来、井戸の底から皿を数えて泣く声がするようになった。この播磨は自害して果てたという。著者の友人の夫人の実家がこの小幡家で、位牌には乱心自害とあり、いまも菊の名にちなんで菊の花は生けぬという。皿屋敷の話は各地にあり、宮城県亘理町には皿でなく莚を数える九枚莚の話も伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集