空を駆ける白馬と降る白い毛
どんな伝承か
奥州秋田、すなわち久保田でのでき事である。文政九年七月十一日の午過ぎ、空から白いものが降ってきた。あわて者は雪かといったが、いかに奥州とはいっても雪の降る季節ではない。人びとが拾って見ると白い毛で、長さは五、六寸もあった。その毛はどんどん降りつづいた。あっと空を指さす者があり、見ると白い尾をなびかせて白馬が天空を駆けていった。降ってきた白いものは、その白馬の尾が抜けて落ちてきたものらしい。白馬が雲の中へ駆け入ると毛の降るのも止んだ。それっきり、二度と白い毛の降ったことはないという。
原典より
竜昌寺由来………………………50蝶になった侍・・・・・・51螢化身.....51二八番二九番五番 石の話…………19一七番 ジョンガラ節・・・・・・37三〇番六番 餓死の列・・21—— 東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。