足に糸を結ぶ蜘蛛と賢淵の柳
どんな伝承か
仙台城下の澱橋は広瀬川に架かっており、その上流に賢淵というところがある。仙台藩士大谷直右衛門が非番の日にこの淵へ釣りに来たが、その日はさっぱり釣れなかった。それでも糸を垂れていると、小さな蜘蛛が黒いものをくわえて淵から這い出し、直右衛門の足先に結びつけては淵へ戻る。直右衛門は不審に思い、そのつど解いて傍らの柳の木に結び直した。しばらくすると柳がミシミシと鳴り、根ごと掘り起こされて淵の中へ引き込まれた。もし居眠りしていたらと思うとぞっとしたという。賢淵の名はこれに起こると伝わる。
原典より
八番 トウセン坊・・23二〇番 椿女……42三三番 姉妹沼:56九番 草鞋の怪・27二一番 せいろ・・・・・・・・43三四番 牛の首・・・・・・・58一〇番 ウワン・・・・28二二番 仙台ワラシ・・・・・・・・・44三五…—— 東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。