気合療法で立った麻布の老婆
どんな伝承か
麻布区桜田町八十一番地に住む西山という六十二歳の老婆の話である。大正十一年七月半ば、盲腸炎で慶應病院に入院して治療を受けているうちに腰が利かなくなり、八月半ばには同院から腰の立つ見込みはないと不治を告げられた。退院して死を待つばかりだったが、同じ町での治療例を聞いて施術を願い出た。術者が訪ねると本人は思いのほか丈夫で、うつ伏せに寝かせて背骨を調べると腰椎に骨の突起があった。一喝とともにそこを押すとごつんと音を立てて収まり、二日目には這って便所へ行き、三日目には湯に入って近所の桜田神社へ参るまでになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・1940年(昭和15年))
『心霊現象治病法』は、心霊学研究会が昭和十五年に発行した心霊療法の手引書である。精神を心理学と唯識の八識説で説き分け、暗示と感応、睡眠と覚醒、肉体と精神の存滅を論じたうえで、薬に頼らず観念と精神統一で病を治すことを唱え、大正十一年の治療の例などを挙げる。第四編「疾病と心霊療法」の後に附録の第五編「実験」を置いて霊動術・金剛力・剣の刃渡り・熱湯熱火を防ぐ法・感応術の修め方を説き、「発心の一言を残して」で結ぶ。