夢枕
どんな伝承か
漢口に駐留していた語り手は、広島市が原子爆弾にやられたとの報せを受け、老いた父母の安否を案じ、その死を覚悟せざるを得なかった。終戦後、いつも心にかかっていた父母がもし本当に死んだのなら、せめて夢枕にくらいは立ってほしいと一心に念じて眠った夜があったが、父母は現れなかった。三月末に復員して帰ってみると、父母は広島で生きており、母が軽い火傷を負っただけだったという。語り手はそれ以来、夢枕というものを逆の意味で信じるようになった。
原典より
富永の幽霊とは全く関係のない話。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。