血みどろの老人が座る終電の幽霊電車
どんな伝承か
語り手が初めて東京へ来たのは明治三十四年の春で、下谷車坂の大石という邸に世話になった。そこには七十ばかりの老婆がいて、よく化け物や幽霊の話をしてくれた。その一つに幽霊電車の話がある。ある高利貸が終電車の中で殺されたので、それ以来その車台が終電車となって下谷の車庫に入る巡り合わせになると、必ず血みどろの老人が車の隅に悄然と腰かけている。電車会社でも気味悪がって、とうとうその幽霊車台を焼き捨てたという。語り手は終電に乗り合わせるとじっとしていられず、途中で降りて歩き出したこともあったと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異