卍を額につけた白衣の女の手招き
どんな伝承か
昭和五十五年二月、七歳だった長男が一酸化炭素中毒を起こし、千駄木の日本医科大学附属病院へ入院して、三日のあいだ意識が戻らなかった。意識が戻ってから子供が語ったところでは、額に卍の印をつけ、白い着物を着た女の人が、しきりにおいでおいでと手招きをしていたという。けれども眠くて眠くてたまらず、その女の人のところへは行かなかったのだと話した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。