釜から浮き上がった御飯と曾祖父の死
どんな伝承か
これは祖母の父、つまり回答者にとっては曾祖父に当たる人の話である。この人は普段からコックリさんなどをやり、しかもよく当たるというように、不思議な事をよくやっていたそうである。その曾祖父が病気で床につき、いよいよだという時のこと、兄弟みんなが集まって看病していた。食事の仕度は交替でやっていて、ちょうど祖母の番だったので、昔の事だからかまどで御飯を炊いていた。ほんの二、三秒お釜から目を離して再び見ると、お釜の中の御飯が浮き上がり、その上にちょこんと蓋が乗っていた。皆が見ている中、御飯はすすすーっと下がって釜の中へ戻り、すぐに曾祖父の死が知らされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。