鯛の骨が抜けた時刻に死んだ伯父
どんな伝承か
昭和二十二年四月のこと。膵臓炎の手術のため入院した伯父の家で留守番をしていた語り手は、手術が終わる昼ごろ病院へ着けばよいと出かけた。病院は新橋駅の近くで、中央線の東中野から東京駅で乗り換え、有楽町駅に着いたとき、一週間前から喉に刺さっていた鯛の骨がぽろりと抜けた。その瞬間、伯父が死んだと感じて駅の時計を見ると十二時五分前であった。病院に着くと伯父は十一時五十五分に亡くなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。