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安置所の前に立つ身元不明の娘

所在地青森県青森市
年代昭和五十年
登場—
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

昭和五十年ごろの四月の話である。青森市営火葬場に勤めるM君が語ったところによると、八甲田山麓の雪谷峠のとある沢で変死体が見つかり、M君は職務として遺体の運び出しを手伝わされた。腐爛が進み、若い女ということ以外に手がかりはなく、身元の分からぬまま遺体安置所に置かれた。火葬を翌日に控えた夕方、部屋を掃除していると飼犬のシロが激しく吠える。顔を上げると安置所の方に、目を閉じ、丸顔にお下げを前へ垂らした娘が、杖を突いて微笑んで立っていた。犬が駆け寄ると娘は安置所へ吸い込まれるように消えた。警察へ報告すると捜索願から身元が浮かび、深夜に駆けつけた両親が、帯の間のぼろぼろの身分証明書で娘と確かめた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))

『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。

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