孫の病を持っていった父と弔いの鐘
どんな伝承か
新潟県十日町市の女性の話である。昭和二十四年、五歳の二番目の子の喉が腫れ、病床の父はひどく案じて、身代わりになってやりたいと言っていた。女性が学校の講習会に出ていると、子が泣きながら来たと知らされ、見ると喉から白い湯気のようなものが出ていた。慌てて帰って押さえると、中のものが一気に出た。それを捨てようとすると、人が死んだときに鳴らす鐘の音が耳を裂くように響いたが、夫には聞こえなかった。まもなく父危篤の知らせが届き、駆けつけると父はすでに亡くなっていた。息を引き取った時刻は、子の喉が治ったのと同じだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。