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壁から伸びて首を絞める老人の腕

所在地福岡県久留米市
年代昭和四十年
登場大石弘之
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

昭和四十年頃、福岡県久留米市のD病院に出張で泊まった夜のこと。当直室が別棟で遠いため、三階特別室の空きに泊まった。草木も眠る丑三つの刻、左手の壁から皺だらけの小豆色に干からびた老人の右肩口と腕がにゅうっと出て、首にがっきと巻きついてぐいぐいと締めにかかった。名状し難い悪寒と恐怖で体が動かず声も出ない。不動真言と念仏を唱えるとようやく手が緩んだが、まどろむとまた繰り返され、三度首を締められた。婦長に訴えると、隣室で肺癌の老人が酸素ボンベを抱えて死んだのだと蒼くなった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))

『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。

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