中津峰で白蛇を打った男の病
どんな伝承か
徳島市多家良町の中津峰は日の峰・津の峰と並ぶ阿波三峰の一つで、中腹の如意輪寺には参詣が絶えず、山頂には三十八社が祭られている。昭和二十八年のある日、麓の男がこの山を登る途中で白い蛇を見つけ、杖で打ちすえると、蛇はそのまま草むらへ這い込んで姿を消した。男は家に帰ってから得体の知れない病に苦しみ、ようやく治ったあとで、これほど恐ろしいことはなかったと語った。聞いた人々は、三十八社のご神体かお使いだったのだろうと噂し合ったという。
原典より
その男は、家に帰ると、得体のしれぬ病気にかかって苦しみ、やっとなおったが「こんな恐ろしいことはない」と話した。—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。