飛白の男羽織・銘仙の羽織・少女用の赤い襦子が刃物で切り刻まれ…
どんな伝承か
大正期、千葉県香取郡香取町の畑や高森開墾地で、刃物で切り刻まれた衣類が相次いで発見された。飛白の男羽織は太田校長の、銘仙の羽織は惨殺された菅谷武雄の、赤い襦子は高橋家の娘おたつの被害品と判明し、府馬のおはつや高橋家の着物と同様に衣類を切り裂く同一犯の癖が指摘された。捜査は難航し、数百人の容疑者を調べても人相風体が一致しなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))
本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。