道玄坂から乗せた三人目の客
どんな伝承か
夜の九時ごろ、渋谷の道玄坂を流していた自動車が、横町から出てきた三人連れの女客を銀座までと言われて乗せた。二十前後の娘が二人と、母親らしい年配の女である。気分よく走らせて銀座で降ろすと、客は母親らしい女と娘の二人になっていた。もう一人の娘はどうしたのかと尋ねると、母親は厭な顔をして、初めから二人だ、どうかしたのかと言い返した。運転手は首をかしげたが、背筋に寒気を覚えてそのままハンドルを握った。後に疲れからの錯覚だろうとからかわれても、交替して二時間も経っていないと真顔で否定した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話