金竜殿帰りの実業家に鳶の霊が憑く
どんな伝承か
京都府綾部市の大本教本部を軸とする話。島根県生まれの滝川辰郎は大正四年に東京高等商業学校を卒業し、神道学者筧克彦博士の「古神道大義」に感銘を受けながらも、神を論理的に理解するに留まり、神頼みを弱者の振る舞いだと嘯く血気盛んな青年だった。経済学者福田徳三博士にも強く影響を受け、虚偽を排して真実を求めよという教えに感激したという。この滝川青年が、のちに姿の見えない鳶の一声によって後半生の生き方を一瞬にして方向づけられることになるが、本文はその経緯に至る前で途切れている。
原典より
と答えると同時に、滝川さんの両手が急速力にバタバタと動かされる状は鳶の羽ばたきそっくりだ。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。