竜神さん天狗さんと呼ぶ講演者
どんな伝承か
大正八年六月二十七日、丹波綾部の大本教本部・金竜殿で講演があった。午後一時、大太鼓が打ち鳴らされると、数十畳敷きの社殿に日本各地から神事修行や大本研究に集まった老若男女が続々と集まった。講演に先立ち、森良仁という年配の人物が艮の金神のお筆先を謹厳な発声で朗読した。この日の講演者は二名で、一人は三井物産をやめて入信した岩田久太郎、もう一人は元海軍機関学校教授の浅野和三郎だった。岩田は霊界の組織について話したが、話に出てくる竜神や天狗にいちいち「竜神さん」「天狗さん」と親しげに敬称をつけて語ったのが記憶に残ったという。
原典より
ただ記憶に残っているのは、話の中に出て来る竜神や天狗にいちいち「竜神さん」「天狗さん」と、いかにも親しげに「さんづけ」にしたことです。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。