長壁大神の正体を告げた惣社大神
どんな伝承か
長壁大神が何の神なのか神主を含め誰も知らず、俗に長壁稲荷とも呼ばれていたため、春の神異は狐狸の仕業だと親類や世間から悪く言われていた。十四日の明け方、春の夢に惣社大神が現れ、長壁大神は木花開屋姫命であると心得よと教え、毎月十五日の祭日には惣社へも参れと告げた。夜が明けると惣社大神の使いが来て、なぜ長壁大神を疑うのかと問うので、春がもう一度確かめたいと頼むと、使いはいったん戻って、木花開屋姫命に間違いないとの大神の言葉を伝えた。母の兄の早川竜之助が春を連れて宮へ参り証拠を願うと、のちに侍女が煎餅や銭を届けたという。
原典より
○十四日曉春女の夢に惣社大神来らせ玉ひて長壁大神は木花開屋姫命に坐す故、然心得すべしと教へさせ賜り。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。