焼けずに鎮まった物置の猛火
どんな伝承か
長南年恵のもとに出入りしていた者が、子どものころ実際に目にした出来事として語ったものである。茅葺きの物置小屋が突然燃え上がった。酒田町鵜渡川原の信者に降りかかるはずの火難を、年恵が身に引き受けたためだという。小屋の内部は一面の猛火で、幼い目には震えが止まらぬほど恐ろしかった。炎は今にも屋根裏へ移りそうに見えながら、やがて何事もなかったかのように鎮まり、小屋に納めてあった品物は一つとして焼けていなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。