重くも軽くもなる不思議な体
どんな伝承か
高野寿直の報告である。年恵は機嫌のよい時には、よく戯れに腕相撲をとったが、筋骨たくましい農夫でも到底その敵ではなかった。またよくおんぶをして遊んだ。自分の躯は重くなるも軽くなるも自由自在で、軽い時は小児でも楽に負えるが、重い時は大男でも腰が上がらない。そんな時の賑やかさといったらなかったという。どんな大暑の候でも年恵は汗をかかず、どんな酷寒の時でも凍えることを知らない。躯には常に清らかな香りが薫り、漆黒の丈なす頭髪には一本の後れ毛も一点のふけもなく、肌の色は白く清く、掌などほとんど透き通るほどであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。