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お春を這い回った一匹の蜘蛛

所在地石川県金沢市片町二丁目
年代お村惨殺の七七日の夜
登場お春、お村、惨殺された妾・怨霊
出典日本の幽霊たち ― 怨念の系譜

どんな伝承か

泉鏡花「妖怪年代記」で、惨殺されたお村の怨念がまずお春に向かうくだり。お村がなぶり殺しにされてから四十九日目の夜、ぼんぼりの頼りない明かりで血の足跡をたどっていたお春の前に、天井から一匹の蜘蛛が糸を垂れて下りてきた。何より蜘蛛を嫌うお春の頬から喉、胸から腹、背中へと蜘蛛は這い回り、お春はもだえ苦しんで死んだ。蜘蛛の這った跡には、縄で首をくくったような青い筋が残っていたという。理由もなく殺された者がこの世に残す恨みの激しさを示す話として語られる。

原典より

蜘蛛ぎらいのお春が、この世の最後にとりつかれたのは蜘蛛であった。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)

『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が書きおろした日本文学の幽霊論で、刊行は日貿出版社が手がけた。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『日本霊異記』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じ、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。

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