女湯から聞こえたハミング
どんな伝承か
八年ほど前、アイデアに行き詰まった著者は、家内と温泉宿にこもって仕事をすることにした。観光シーズンで宿が取れず、観光課のつてで無理に入れてもらった宿はがら空きで、仲居も二人しかおらず、ほかに客もいなかった。食事は朝昼晩と冷凍の馬刺が続いたが、風呂がすばらしく、真夜中に暗い渡り廊下を辿って一人で湯につかると、隣の女湯から仲居のものらしいハミングが聞こえてきた。盛岡の自宅に戻った翌日、宿を仲介した知人が謝りに来た。十日ほど前に、離婚して戻った宿の娘が女風呂で薬を服んで自殺し、宿は休業していたのだという。
原典より
不思議な話ばかりを書いているせいなのか「幽霊屋敷に泊まってみませんか」とテレビ局から誘われたことがある。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・現代) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・現代)