雨に濡れぬ金剛三昧院の小僧
どんな伝承か
紀州有田郡の森口清一が、ザシキワラシについて問い合わせた著者に寄せた返書に、こんな話がある。昔、高野山の金剛三昧院に一人の小僧がいて、住職が外出するときはいつも供をしていた。この小僧が供をすると、どんな暴風雨に遭っても、傘をささずに少しも濡れることがなかったという。同じ村の上田稔という人が、高野山の寺に十数年住んだ間に聞いた話で、これに似た話はほかに聞かなかったそうである。
原典より
此小僧供すれば、如何なる暴風雨に会ふも傘ささずとも濡れると云ふこと無之候ひき。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。