魚を投げると明るくなる鍋ヶ坂の闇
どんな伝承か
遠野の町の野田という人が川魚釣りに出かけると、鍋ヶ坂の下で急にあたりが真っ暗になり、進むことも戻ることもできなくなった。こうしたことがたびたびあったので、野田はすっかり慣れてしまい、またかと言って、いいかげんにして明るくしてくれと頼みながら、釣った魚を五、六尾藪へ投げてやった。するとすぐにもとの昼間に戻って、また歩けるようになったという。近年の話として語られている。
原典より
ははアまたか、ソレい、加減にして明るくしてくれと云つて、魚を五六尾藪へ向って投げると—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。