飼い犬に化けて松林へ誘ったお初子
どんな伝承か
著者の友人の男沢という人が、遠野町の中学校から帰る途中、八幡山の麓まで来ると、向こうから自分の飼い犬が走ってきてしきりにじゃれついた。うるさいがそのままにして歩いていくと、どんと大きな松の幹に額を打ちつけた。痛いと叫んで見れば、犬だと思っていたのは狐で、向こうへ走り去っていく。気がつくと自分はいつの間にか山の中腹の松林に入り込んでいたという。これも八幡山のお初子の仕業だとされる。
原典より
ドンと大きな松ノ樹の幹に額を打ツつけた。痛いツと叫んで驚いて見れば、犬と思ったのが狐になつて向ふへ走せて行く—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。