八幡山で狐女に責められた村の男
どんな伝承か
遠野の町から著者の村へ帰る途中にある八幡山は、昔から狐の名所として知られている。近年のこと、村の者が夜遅く町から帰る途中、夜目にもたいそう美しい女と道連れになった。歩くうちに話がまとまって林の中に入ったが、女はひどくしつこく、男は夜明けまで責めさいなまれてようやく放された。それからは気が遠くなってぼんやりし、ほぼ一か月は物の見分けもつかないほどだったという。その女はもちろん狐であったと語られる。
原典より
夜明けまで責めさいなまれて、漸と放されたが、男は気が遠くぼんやりとなつて—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。