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唐櫃に埋められた姉と涙の開眼

所在地岩手県遠野市
年代不明
登場葦子、萱子、妹・後妻の娘
出典佐々木喜善全集 1

どんな伝承か

父の旅の留守に、継母は先妻の娘の葦子を石の唐櫃に入れて奥山に埋めさせた。妹の萱子は、別れ際に唐櫃へ入れた笹糸をたどって奥山へ向かい、糸の尽きた所の土を掘りながら呼ぶと、かすかな返事があって唐櫃を掘り当てた。泣き続けた姉は盲になっていたが、萱子が抱きついて泣くとその涙が姉の目に入り、目が開いた。姉と沢を下って村に出ると、通りがかった爺が長者の館に奉公の口を世話し、姉妹はやがて長者の息子兄弟の嫁となった。七年後、館の門で鉦を叩く乞食の爺が、葦子萱子がいれば何でこの鉦を叩こうかと唄った。追うと、娘を恋しがって泣き盲になった父で、二人の涙で父の目も開き、親子は館で一生楽しく暮らしたという。

原典より

萱子は悲しくて悲しくて抱きついて泣くと、萱子の左の目の涙が姉の左の眼に、右の眼の涙が右の目に入ると、姉の目はばっちりと開いた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))

『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。

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