片目の違いで見破られた狐の爺
どんな伝承か
ある所の爺と婆のうち、爺は右目が見えなかった。町へ出た爺の帰りが遅く、待ちくたびれた婆のもとへ、帰ったぞと爺が戻ってきたが、見ると左目が片目なので、婆は狐だと見抜いた。婆が、酔って帰るといつも俵に入ると言う癖だなと言うと、爺はその通りだと答えて俵に入り、上から縄をかけろと言うのだろうと言うと縄をかけられ、挽き臼を載せろ、火棚に上げていぶせと言うのだろうと続けると、そのたびにその通りだと答え、ついに火棚でたっぷりいぶされた。狐が困り果てているところへ、婆はわざと魚を出して香りを立てながら飯を食べ、そこへ本物の右片目の爺が帰ってきた。火棚の上の偽の爺は、とうとう狐汁にされたという。
原典より
見るとそれが左片目であつたので、はあこれは狐だなと婆様は思つた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。