光物が示した地蔵の由来
どんな伝承か
この付近の男が、ある年の押し詰まった歳の瀬に暮らしに困り、北上川の明治橋から身を投げて死のうと橋の上に佇んでいた。すると天の一方から光る物が飛んで、北上川畔の御倉場のあたりに落ちた。それを見ているうちに死ぬ気が薄れ、今の光物は何だろうと思って落ちた見当まで行き、地を掘ってみると、土中から石の地蔵尊が一基現れた。それがひどく評判になって参詣人も多く集まり、男はたちまち裕福になった。もとより地蔵尊を信心していた男は、それからいよいよ厚く信心したという。その石地蔵は今も鉈屋町の某寺にある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。