十月仏の田掻き手伝い
どんな伝承か
上閉伊郡小友村字鷹鳥屋の十三坊上ノ家、当主は松田正志という。当家には十月仏と称する丈二尺ばかりで頭巾を被り、手に剣を持った木像があり、旧暦十月二日の夜と正月十六日には一族近親を招いて礼拝し饗応するのを例としている。伝えによれば文化文政の頃であろうか、当家の五代前の惣助の妻が出産のため働き手がなく、農業が遅れて困り果てていた時、どこからともなく一人の小童が来て田掻きのサセ取りを手伝った。ところが夕方には姿が見えない。不審に思って仏壇を見ると、その木像が泥だらけになっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。