若君を落として身を投げた乳母の泡
どんな伝承か
何代目の城主のころか、実は家老の植松氏の家のことらしいが、ある日乳母が若君のお守りをしながら池へやって来た。岸から少し離れたところに青々と美しい水草が生えていたので、乳母は若君を片手に抱いたまま、もう一方の手を伸ばしてそれを取ろうとした。手が届いた瞬間、誤って若君を水に落としてしまい、幼い若君はそのまま沈んだ。乳母は詫びようもなく、自分も池に身を投げて帰らなかった。それからこの池に「うばこいしいか」と呼びかけると、水底からぶくぶくと泡がわき上がり、青草のまわりで消えるという。
原典より
以来この池に「うばこいしいか」と問うと、水底から、ぶくぶくと水泡わきあがり、青草のまわりに消えていったという。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。