三つに裂かれた雨乞いの竜
どんな伝承か
北之庄町にある寺の由来である。昔、日照りが続いたので村人は僧を招いて雨乞いを行い、僧は法華経を読んで祈った。人々が帰ったあと、一人の老翁が現れ、法華経がありがたかったので雨を降らせよう、ただ自分は小さな竜であり大竜の許しなしに降らせれば命はない、それでも気の毒だから降らせるゆえ、亡きあとは菩提を弔ってほしい、と言い残して消えた。ほどなく大雨とともに凄まじい音がとどろき、驚いて見ると竜が三つに断たれて落ちていた。里人たちは竜の菩提を弔うため三つの寺を建て、それぞれ竜頭寺・竜腹寺・竜尾寺と名づけたと伝える。
原典より
昔、日照りがつづいたので、村人たちは僧を招いて雨乞いをおこなった。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。