神が移り顔つきまで変わる託宣
どんな伝承か
山野目キヌは、旧館のイダッコイエーと呼ばれる山野目家の三代目の神子である。大正八年に重茂村音部に生まれ、身体が弱かったので一四歳で山野目家に弟子入りした。日拝式や春祈祷の経文、大祓い、不動経、山の神や稲荷の祭文を習い、三年ほどたつと神子舞を習う。修行の仕上げに家の蔵へ注連縄を張って一週間から一〇日籠り、日に三度水をかぶった。この間に病人の呪いや、座ったまま行うねまり託宣の法も教わった。一七歳でオダイジを許され、それは神様を移していただくことだと教わった。はじめて託宣を語ったのは二〇歳を過ぎてからで、神様が移って自分にしゃべらせるので、気持ちも身体も顔つきも変わってしまうとわかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。