黒森神社の湯立託宣と神子舞
どんな伝承か
三月に春祭りがはじまると、神社の境内や拝殿で釜に湯を沸かす湯立託宣が行われる。宮古の黒森神社では山野目キヌ神子がこれを勤めた。法印が祓詞を唱え、神楽衆が打ちならしと座揃いの歌を奏する。法印は剣者弊で湯釜の注連縄を切り、湯をかきまわして笹を浸し、その雫を参加者に振りかける。神子は九字護身法を結んで笹を受け、立ち上がって神降ろしのシキジョウを歌い、タカ神とトコロ神の託宣を語る。神楽の胴取が聞き合わせをし、神送りののち神子舞が舞われた。託宣に使った笹は婦人たちが持ち帰る。湯立託宣は近世以来、山伏と神子が共同で行ってきた宮古の修験で最も重要な儀礼だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。