家の盛衰を司るザシキワラシ
どんな伝承か
岩手を中心に東北の北部で語られるザシキワラシは、二、三歳から十歳ほどの、おかっぱ頭で赤い顔をした童子だという。遠野の土淵村飯豊にある今淵勘十郎の家では、休暇で帰っていた娘が廊下でばったり出会って驚いた。同じ村の山口の佐々木家では、留守のはずの主人の部屋で紙の音や鼻を鳴らす音がした。この童子の宿る家は富み栄えるとされ、山口孫左衛門の家では童女二人が去ったのち、一族が毒にあたって一日で絶えたと語られる。佐々木喜善は、土淵村の小学校にも現れ、尋常一年生にだけ見えたと記している。
原典より
柳田国男の『遠野物語』に、家の座敷に時折出現する童子姿の精霊の話がある。—— 暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。