旧家を去った二人の童女神
どんな伝承か
『遠野物語』が伝えるザシキワラシの話。土淵村山口の旧家、山口孫左衛門の家には、二人の童女の神がいると言い伝えられてきた。ある年、同じ村の男が町からの帰りに留場の橋のほとりで見なれぬ娘二人と行き合った。どこから来たかと問えば孫左衛門の家からだと答え、これからどこへ行くのかと聞けば、少し離れた村の何某の家へ行くという。男は孫左衛門も終わりだと思ったが、まもなく主従二十幾人が毒にあたって一日で死に絶え、残された七歳の娘も子のないまま年老いて病死したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。