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障子越しに語る白狐様の正体

所在地東京都千代田区
年代伝承(口承)
登場久保清右衛門、怪事の起きた家の主
出典井上円了 妖怪学講義

どんな伝承か

ある年の十一月初めから、駿河台西紅梅町五番地の久保清右衛門の家で怪事が続いた。夜ごと玄関で案内を乞う声がするのに誰もおらず、石や砂利も投げ込まれた。やがて家の隅から神田連雀町の稲荷だと名乗る声がして問いに答えるようになり、一家は白狐様と呼んで信じ込んだ。円了は評判を聞いて何度も訪ね、台所の障子越しに声を聞き、宝珠の玉や菓子や書を授かったが、声は常に下女のいるあたりから聞こえ、白狐と下女が決して同時に話さないことなどから、下女の声色と鑑定した。のち警察が一家を取り調べ、下女が白狐の声を演じていたことは円了の見立てと一致した。

原典より

今夜は特別に、手を見せてやろうと言って、障子の影に手の形を見せられた。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)

『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。

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